「民間で使える資格がないから、まだ転職活動は始められない」。そう考えて、参考書を探している自衛官の方もいるかもしれません。
資格なしで応募できるかは、希望する仕事と企業の募集条件によって変わります。まず求人票で「資格の位置づけ」「必要になる時点」「資格以外に求められること」を確認しましょう。その結果によって、取得を先にする、応募と学習を並行する、仕事選びから始める、という順序を決められます。
この記事では、現役・退職後の自衛官に向けて、資格講座を申し込む前にできる判断の手順を整理します。
資格がないことと、応募条件を満たさないことは別に確認する
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」は、一般事務への入職に特定の資格は必要とされない一方、業務によってパソコンスキルや文書作成能力などが求められる場合もあると説明しています。資格の有無だけでは、準備すべきことを決められません。出典:job tag「一般事務」
ただし、これは職業全体の説明です。個別の企業が資格や実務経験を応募条件に設けている場合もあります。「この職種なら資格不要」と一括りにせず、応募したい求人の仕事内容と条件を読み合わせてください。
1.「必須」「歓迎」「記載なし」を分けて読む
まず、興味のある求人を数件選び、資格欄の言葉をそのまま書き出します。次の分類は、応募先への確認事項を見つけるための目安です。
- 必須:持っていなければ、応募可否や取得見込みでの扱いを確認する。自己判断で「経験で補える」と読み替えない。
- 歓迎・あれば尚可:取得まで応募を待つか決める前に、ほかの必須条件を確認する。歓迎資格がなくても検討対象になるか、不明なら問い合わせる。
- 記載なし:資格不要と決めつけず、業務内容や別の条件欄も読む。記載が曖昧なら確認する。
ここで注意したいのが「未経験歓迎」です。職種の経験がなくてもよいという意味なのか、業界経験だけを問わないのか、資格まで不要なのかは求人によって異なります。見出しだけで判断せず、応募条件の全文を確認しましょう。
2.必要なのは応募時か、入社時か、担当業務に就く時か
資格が必要と分かっても、すべての準備を取得後まで止めるとは限りません。応募時点で保有が必要なのか、入社までの取得を認めるのか、入社後に学ぶ仕組みがあるのかを確認します。
問い合わせるなら、「資格は未取得です。応募時点での保有が必須でしょうか。取得予定の場合の応募可否と、保有が必要になる時点を教えてください」と聞くと、判断に必要な答えを得やすくなります。
求人に資格取得支援の記載があっても、採用前の取得が不要とは限りません。対象資格、学習時間の確保、費用負担、取得までに担当する仕事を別々に確認してください。資格により、試験合格のほかに登録や実務経験などの要件があるため、実施団体の公式情報も確認しましょう。
現役の方は、学習できる時間に加えて、面接対応や入社可能時期も整理しておく必要があります。未確定の日程を、取得や入社の確約として伝えないようにします。
3.その資格で、求人のどの条件を満たしたいのか
資格の役割を一文で説明してみてください。「この求人の応募条件を満たすため」「担当業務の基礎知識を身につけるため」など、仕事とのつながりが言えるかが判断の手がかりです。
例えばIPAは、ITパスポート試験の対象者像を、ITに関する共通的な基礎知識を持ち、業務でITを活用していこうとする人としています。学習範囲を知るうえで役立ちますが、これだけで開発や運用の実務経験を示せると考えるのは早計です。応募先が求める能力と、試験で確認される知識を照らし合わせましょう。出典:IPA「ITパスポート試験」
反対に、求人で求められるのが表計算ソフトでの集計や関係者との調整なら、実際に何ができるかを整理する準備も必要です。資格学習と、仕事を遂行する練習を分けて考えると、時間の使い方が具体的になります。
求人票と自分の状況を、1枚に並べる
次の項目を求人ごとにメモすると、「何となく資格が欲しい」という状態から次の行動を決めやすくなります。
- 求人のURL・確認日・担当する仕事内容
- 必須資格と歓迎資格の原文
- 資格が必要になる時点と、未確認の点
- 資格以外の必須条件と、今できること
- 取得を目指す場合の試験日程・準備時間・費用
- 次の行動と、判断を見直す日
資格なしでも応募条件を満たすなら、応募準備と必要な学習の並行を検討できます。応募時に必須の資格がないなら、取得計画を立てるか、条件の異なる求人を探します。希望する仕事が定まっていないなら、講座の比較より仕事内容の比較を先に進めましょう。
応募開始を遅らせる場合は、その間に得たいものも書きます。「基礎知識を身につけたい」だけでなく、「求人で求められる集計作業を自力で行える状態にする」と具体化すると、準備を終える目安になります。
架空の2例で考える、学習と応募の順番
例1:資格の指定がない事務職を検討している
隊内で記録の確認や日程調整を担当してきたAさん。気になる求人には資格の指定がなく、表計算ソフトの操作が必須と書かれています。この場合は、応募可否を確認し、求められる操作を試して不足を把握します。資格を取るまで待つと決める前に、業務経験の整理と操作練習を進める選択肢があります。
例2:応募時に特定資格が必須の求人を志望している
Bさんは仕事内容に魅力を感じていますが、指定資格を持っていません。採用窓口からも応募時の保有が必要と回答がありました。そこで試験の公式日程と学習計画を確認し、取得後の応募を目指すか、入社後の取得を認める別の求人も探すかを検討します。同じ職種名でも、求人ごとに判断し直します。
いずれも判断方法を説明するための架空例であり、実際の求人や採用実績ではありません。
資格を選ぶ前に、次の一手を決めよう
まずは気になる求人を1件開き、資格欄と仕事内容を読み、「確認する」「学ぶ」「応募を準備する」のどれを次に行うか決めてみてください。資格取得そのものをゴールにせず、希望する仕事に向けて必要な準備を選びましょう。
資格の候補を広く知りたい方は、関連記事の「自衛官からの転職に有利な資格とは?」も参考にしてください。候補を見つけた後は、この記事の手順で個別の求人条件と照合することが大切です。
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著者
古川勇気|Catapult事業責任者
防衛大学校卒。リクルートグループ出身。人事組織コンサルティング、事業立ち上げ、キャリア支援に携わる。
