自衛隊を退職した後も、同じ経験を持つ人と話せる場や、地域で新しい知り合いをつくれる場があると心強いものです。ただ、「自衛官のOB会」と呼ばれる組織でも、対象者、活動地域、会費、入会手続きはかなり異なります。
この記事では、全国的な団体を中心に、学校・職域別の同窓会や地域交流の団体も紹介します。定年退職だけでなく、任期満了や中途退職をした方、若い世代、女性の元自衛官も、自分に合う候補を探すためのガイドとしてお使いください。
まずは「自分が対象になるか」「何をしたいか」「無理なく通える場所か」の3点から選ぶのがおすすめです。親睦、社会貢献、学び、仕事の相談など、求めるものによって合う団体は変わります。
公式公開情報の確認日:2026年10月24日。この記事は、確認できた主要団体と同窓会等の例を整理したものです。全国すべての同期会、部隊・艦艇・基地・地域の任意団体を網羅するものではありません。会費や受付方法は変更されるため、申込み前に各団体へご確認ください。アイキャッチ画像はAIで制作したイメージであり、実在団体の会員や集会を撮影したものではありません。
自衛隊退職後のつながりは、大きく3種類
ひとつ目は、隊友会や各自衛隊にゆかりのある団体のように、退職者の交流や社会貢献を広く扱う組織です。地域の活動に参加したい方は、全国本部だけでなく、住んでいる地域の支部の活動を見ると判断しやすくなります。
ふたつ目は、防衛大学校、防衛医科大学校、航空学生など、学校・教育課程を共通項にする同窓会です。退職したことではなく、卒業・入校等の経歴が入会条件になる点が特徴です。
みっつ目は、日米交流や地域活動など、目的を共有して集まる組織です。自衛隊経験者に加え、現役隊員や民間の人が参加できる場合もあります。昔の仲間との再会だけでなく、新しい関係をつくりたい方の選択肢にもなります。
主要7団体の対象と費用を比較
以下は主な会員区分の概要です。入会金、年会費、寄付は別のものなので、同じ「年間の負担」として単純比較しないようにしましょう。支部会費、行事参加費、交通費等が別途かかる場合もあります。
| 団体 | 主な対象 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 隊友会 | 自衛隊退職者等 | 正会員 年3,000円 |
| 陸修偕行社 | 円満退職した幹部・准尉等 | 普通会員の寄付目安 年1口5,000円 |
| 水交会 | 海自等の関係者・配偶者等 | 正会員一般・遺族 年5,000円 |
| つばさ会 | 航空自衛隊退職者 | 公式掲載資料では年3,000円※ |
| 防衛大学校同窓会 | 本科卒業者等 | 現行額は要確認 |
| 防衛医科大学校同窓会 | 医学科・看護学科卒業者等 | 学科で異なる。本文参照※ |
| JANAFA | 海上自衛隊OB・OG等 | 正会員 年5,000円 |
※つばさ会は申込み時の金額を要確認。防衛医科大学校同窓会は公式サイト掲載の会則に基づく金額で、最新の適用条件は事務局へ確認が必要です。表は全会員区分や入会時の費用を示したものではありません。
1.隊友会:階級や出身校に限らず、地域とのつながりを探しやすい
隊友会の正会員は、自衛隊を退職した方が対象で、事務官等も含まれます。予備自衛官補として採用された方も対象です。特定の学校の卒業者や幹部だけの会ではなく、任期制で退職した方も候補になります。
活動には会員相互の交流、防災や地域への協力、広報などがあり、隊友紙、福利厚生の優待、各種保険、再就職支援事業も案内されています。ただし、保険はそれぞれの加入条件を確認する必要があり、再就職支援も希望する仕事への採用を保証するものではありません。
入り方:すでに退職している場合は、居住地等の都道府県隊友会に連絡し、申込書、会費、会員証用写真等の手続きを確認します。退職時は駐屯地・基地の担当部署を通じた手続きも案内されています。正会員の年会費は3,000円です。
まず地域で活動したい方は、支部の直近の行事、参加者の世代、平日・休日どちらの活動が多いかを聞いてみましょう。本部の事業紹介と、実際に通える支部の活動は分けて確認すると安心です。
2.陸修偕行社:幹部・准尉等を中心に交流や学びを続ける
公益財団法人陸修偕行社は、偕行社と陸修会が2024年4月に合併した団体です。古い記事を調べると旧名称が出てくるため、入会や寄付の情報は現在の公式案内で確認しましょう。
普通会員には、陸・海・空自衛隊を円満退職した幹部自衛官・准尉等が含まれます。公式案内では、陸上自衛隊の幹部退職者は、入会申込みをせず退職と同時に会員になるとされています。該当する方は、新規申込みより先に登録状況や連絡先の確認が適切です。そのほか、家族会員、個人・法人の賛助会員などの区分があります。
機関誌「偕行」、講演会、同好会、交流、地域活動等があり、学びや社会との関わりを続けたい方の候補になります。
入り方と費用:自動入会の対象外の場合は、公式の会員区分を確認して事務局へ相談します。普通会員は年間1口5,000円を目安とする寄付が案内されています。一般的な年会費と同じ扱いで説明しないことが大切です。地域の偕行会への参加や費用は、別途確認してください。
3.水交会:海上自衛隊にゆかりのある交流や文化活動
水交会は、旧海軍・海上自衛隊の関係者とその配偶者などが参加する団体です。海自を退職した幹部だけに限定された会ではありません。これらの関係者以外でも、会員1名の紹介を得るなどの条件を満たして入会できる案内があります。いずれも趣旨への賛同と所定の承認が前提です。
水交誌、講演会、各種行事、同好会、提携施設の利用などが案内されています。海の勤務経験を共通項に話したい方、歴史や文化を学びたい方にとって、活動内容を検討する価値があります。
入り方:公式の入会フォームまたは申込書で手続きし、会費を納入します。2026年4月1日からの手続き案内では、正会員の一般・遺族はいずれも年5,000円です。古いFAQや過去の会費情報と混同せず、新しい手続き案内を確認しましょう。
支部の有無だけでなく、希望する行事の開催地、申込み方法、参加費も確認してください。入会によってすべての催しに無条件で参加できるとは限りません。
4.つばさ会:航空自衛隊退職者の親睦や活動の場
つばさ会は航空自衛隊退職者を対象とする団体です。幹部だけを対象にした組織と思われがちですが、公式案内では2004年から全航空自衛隊退職者を正会員の対象に広げています。退職時の階級だけで候補から外す必要はありません。
会員同士の親睦、同好会、講演会、つばさ会だよりの発行、航空自衛隊を支える活動などが紹介されています。支部の活動があるため、転居後も含め、住んでいる地域でどのように関われるかを確認するとよいでしょう。
入り方:入会申込書を入手して提出します。公式案内では、用紙のダウンロードや本部への請求、退職時に配付される申込書の利用などが示されています。公式掲載資料および防衛省の公開資料では年会費3,000円が案内されていますが、申込時の現行額と納入方法を本部・支部へ確認してください。
出典:つばさ会の会員募集、つばさ会の案内、防衛省公開資料(2025年)
5.防衛大学校同窓会:卒業期や地域を通じたつながり
防衛大学校同窓会は、本科卒業者を正会員とする同窓会です。研究科卒業者やかつて在籍していた方については、入会の希望と理事会の承認等の条件があります。退職者専用ではなく、現役、民間で働く卒業者などが関わる組織です。
同期・卒業期や地域のつながり、母校への支援、情報交換などが活動の軸になります。「自衛隊を辞めたから同窓会とも関係がなくなる」と考えず、卒業経歴に基づく窓口として確認できます。
入り方と費用:まず本部、卒業期の窓口、地域支部等に登録状況を確認します。すでに会員であれば、連絡先の更新から始める場合もあります。現行の一律の納付額は今回の調査では確定できませんでした。本部と支部の会費を分け、未納分等がある場合も最新の案内に基づいて確認してください。古い会報の金額をそのまま現行額として使わないよう注意が必要です。
出典:防衛大学校同窓会の概要、会費案内、連絡先
6.防衛医科大学校同窓会:卒業後も続く医療職のネットワーク
防衛医科大学校同窓会は、医学科・看護学科の卒業者等による組織です。会員相互の親睦に加え、医療に関する学び、母校とのつながり、会報等の情報交換があり、公式サイトでは求人広告や同窓生に関する情報も扱っています。
入り方:学科、卒業年、現在の登録状況を添えて事務局に確認しましょう。公式サイトにある賛助会員の申込案内は、卒業者の正会員としての手続きとは区別が必要です。
公式サイト掲載の会則では、医学科は入会費60,000円、年会費6,000円、看護学科は入会費を当分の間免除、年会費4,000円とされています。ただし、掲載されている会則は2017年施行のものです。入会時の扱いや現在の適用額は、振込み前に必ず確認してください。
専門職同士の情報交換に役立つ可能性がありますが、入会が勤務先の紹介や採用を保証するわけではありません。交流の目的と、求人への応募はそれぞれ分けて考えるとよいでしょう。
7.JANAFA:海自経験を生かし、日米交流に関わりたい方へ
日米ネービー友好協会(JANAFA)は、海上自衛隊と米海軍に関わる交流を進める団体です。正会員の対象となる海上自衛隊OB・OGには海曹等も含まれ、将官だけの組織ではありません。
講演会、海上自衛隊・米海軍の施設見学、ホームステイ支援、会報、会員同士の交流等が紹介されています。元の勤務のつながりに加え、国際交流という目的で参加先を探す方の候補です。
入り方と費用:公式サイトのフォームや郵送等で問い合わせ、書類と会費納入の案内に沿って手続きします。正会員の年会費は5,000円です。一般の個人賛助会員は年10,000円で、正会員2名の推薦等の条件があります。
全国から入会できますが、支部はなく、活動は主に関東です。遠方の方は、参加したい行事の開催場所や頻度を確認しましょう。施設見学も募集条件や定員等に従うため、会員であれば必ず参加できると考えないことが大切です。
学校・教育課程や地域活動から探す、ほかの選択肢
航翔会:海上自衛隊航空学生という共通点
航翔会は、海上自衛隊航空学生の入隊者を正会員とする団体です。家族会員や賛助会員の区分もあり、親睦、航空学生への支援、同巣会、会誌等の活動があります。全海自退職者を対象とする会とは異なるため、対象経歴を確認しましょう。現行の会費や具体的な申込み手順は、公式窓口への確認が必要です。
出典:航翔会公式サイト
碧会:航空自衛隊生徒の仲間とのつながり
碧会は、航空自衛隊生徒制度の入隊者による団体で、現役・退職者の交流や航空自衛隊を支える活動を扱っています。航空自衛隊退職者なら誰でも同じ条件で入れるという意味ではありません。会費と最新の入会手続きは今回の公開情報調査では確定できていないため、公式窓口で確認してください。
出典:碧会公式サイト
高等工科学校同窓会桜友会:学校の縁をたどる
防衛省の学校案内では、全国の卒業生による同窓会として桜友会が紹介されています。卒業生の交流や在校生の支援に関わる選択肢です。最新の会費や新規入会の手続きは公開資料だけでは確認できないため、同期の窓口や同窓会への連絡経路を確認しましょう。
出典:防衛省の高等工科学校案内
日ノ出會:元自衛官と地域の人が関わる場
日ノ出會は、元自衛官に限らず、現役自衛官や民間の方も対象とする団体です。公式入会案内では年会費なしとされ、イベントや講演会、農業、ボランティア、会員間の交流が紹介されています。学校の同窓会とは性格が異なり、地域や社会活動からつながりをつくりたい場合の候補です。公式の会員登録・問い合わせ窓口から、活動場所と参加方法を確認できます。年会費がないことと、個別イベント等の費用が不要なことは別です。
出典:日ノ出會の入会情報
入会前に確認したい5つのこと
- 会員資格:退職した自衛隊、階級、学校・課程、退職の状況等が条件に合うか。年齢や性別だけで諦めず、公式の対象者を確認します。
- 活動の実態:直近の開催実績、場所、曜日、頻度を確認。見学や初参加の可否も聞いておくと判断しやすくなります。
- 費用の内訳:入会金、本部年会費、支部会費、寄付、行事代、交通費を分けて確認します。
- 参加の仕方:毎回出席が必要か、オンラインで関われるか、仕事や家庭と両立できるかを確認します。
- 期待すること:旧友との交流、地域貢献、学び、仕事の情報収集など、自分の目的と活動が合うかを確かめます。
問い合わせは「○年に○自衛隊を退職しました。入会対象か、近隣の活動、初年度の費用を教えてください」といった短い内容で十分です。元の所属に関する非公開情報や、同僚の個人情報まで伝える必要はありません。
また、曹友会や修親会など、在職中に接点があった組織を、そのまま退職者向けの入会先として紹介するのは適切ではありません。名称が似ていても目的や対象が異なります。部隊・職域のOB会、同期会を探す場合も、以前の知人や公式に案内された窓口から、現在の活動と参加条件を確かめてください。
つながりづくりと、次の働き方の相談を分けて考える
OB・OG団体や同窓会は、経験を共有したり、新しい活動に関わったりするきっかけになります。一方で、団体への入会だけで、転職先や働き方の悩みがすべて解決するわけではありません。交流する場と、キャリアの具体的な課題を整理する場を使い分けてよいのです。
民間企業に入った後の人間関係や仕事の進め方が気になる方は、「自衛隊から民間企業へ|入社後90日で確認したい役割・報告・相談の進め方」も参考にしてください。
「自分の経験をどう説明すればよいか」「退職するか残るかも含めて考えを整理したい」という方は、Catapultの公式LINEから無料キャリア面談をご活用ください。提供中のテンプレートや面談での書類添削も、準備を進めるために利用できます。テンプレート等の特典は、LINE登録だけでなく、所定のアンケートへの回答が条件です。案内をご確認のうえ、必要なものをお役立てください。
まずは気になる団体を1〜2か所選び、対象者、近隣の活動、初年度の負担を確認するところから始めてみましょう。
