自衛隊の階級別平均年収は?俸給表の読み方と民間給与の比較ポイント

俸給表と求人の条件表を見比べ、給与の内訳を確認する人物のイラスト

「3曹や2曹の平均年収はいくらか」「幹部自衛官と民間の管理職では給与がどう違うのか」。こうした疑問を調べるときは、俸給表の月額、条件を置いたモデル年収、実際の支給額を集計した平均年収を分ける必要があります。

今回確認した公式資料では、現役自衛官全体の階級別の実支給年収平均は確認できませんでした。本記事では、公式の自衛官俸給表から分かる月額の範囲を示し、民間給与の統計や求人条件と比べるときの確認点を整理します。俸給表の最小・最大額を平均年収として扱うものではありません。

資料確認日:2026年10月17日。俸給表は2025年12月24日公布・法律第95号の別表第二に基づきます。2026年10月9日提出の給与改正法案は確認時点で未成立のため、その改定額は反映していません。実際に確認する際は最新の法令・給与明細を参照してください。

目次

階級別の「平均年収」と俸給月額は違う

平均年収を示すには、誰を対象に、どの期間の、何を含む支給額を集計したかが必要です。これに対し、俸給表は階級と号俸に対応する俸給月額を定めたものです。同じ階級でも号俸が異なれば月額が変わります。

  • 俸給月額:俸給表で定める1か月の額。これだけで年間の総支給額は分かりません。
  • モデル年収:採用区分、階級、年齢などの条件を置いた例。全員の平均や将来の保証額ではありません。
  • 実測の平均年収:対象者の年間給与を集計した平均。対象年・母集団・含まれる手当などの確認が必要です。

民間の基本給とも、名称だけで同じものと考えないようにしましょう。防衛省の2026年3月13日の処遇・勤務環境に関する資料(PDF2〜4ページ)では、自衛官には一般的な超過勤務手当等の制度を設けず、一定の相当額を俸給に組み込んでいることが説明されています。残業代を除く民間の所定内給与と、そのまま同じ条件では比較できません。

自衛官俸給表で確認する階級ごとの月額

次の表は、別表第二の「再任用以外の職員」について、2士から1佐までの各欄に記載された号俸の最小額と最大額を整理したものです。単位は円/月で、手当・賞与を含みません。実際の隊員の支給分布や平均、入隊時に選べる給与幅を示す表ではありません。

階級別の俸給月額の範囲(再任用以外の職員・円/月)
階級表に記載された最小額表に記載された最大額
2士239,500円262,500円
1士250,000円267,700円
士長250,200円298,000円
3曹267,900円334,000円
2曹286,200円398,000円
1曹295,000円426,600円
曹長295,100円440,700円
准尉302,600円453,500円
3尉308,200円456,300円
2尉313,400円458,200円
1尉335,200円462,900円
3佐374,100円487,400円
2佐398,800円507,700円
1佐(三)459,000円516,700円
1佐(二)527,500円552,600円
1佐(一)563,000円592,600円

出典:2025年12月24日公布・法律第95号 別表第二「自衛官俸給表」(成立・公布情報)。陸・海・空の対応する階級をまとめて表記しています。1佐の(一)〜(三)は官職に応じた適用区分です。将・将補などを含む全階級の一覧ではありません。

例えば、3曹1号俸は267,900円、25号俸は308,600円で、俸給月額の差は40,700円です。同じ月額が12か月続くと仮定した俸給部分だけの差は488,400円になります。これは総年収の差でも、3曹の平均でもありません。一定の年齢・年数でその号俸に到達することや、昇任を保証する計算でもありません。

改定情報を見るときは、法案と成立した法律を分けます。2026年10月9日提出の給与改正法案の審議経過も確認し、将来の改定案を今の俸給に足して見積もらないようにしましょう。

年収は、実際の12か月の給与と賞与で確認する

自分の年収を確認する場合は、俸給月額に一律の倍率を掛けるより、対象となる1年間の給与・賞与明細や源泉徴収票を確認する方が具体的です。途中で昇任・昇給・異動があれば、各月の支給内容が変わるためです。

まず対象年を決め、各月の俸給と手当、期末・勤勉手当等を分けて整理します。既に月々の総支給額に含まれている手当を、もう一度加算しないようにしてください。非課税の通勤手当等の扱いが違うため、給与明細の総支給額の単純合計と源泉徴収票の「支払金額」は一致しない場合があります。

税金や共済掛金等を差し引く前の金額と、銀行口座に振り込まれる手取りも分けて考えます。求人票の額面年収と現在の手取り額を比べると、収入が増えるように見えてしまうことがあります。

民間の平均給与や役職と、階級を単純に対応させない

国税庁の2025年分の調査では、1年を通じて勤務した民間給与所得者の平均給与は次のとおりです。ここでいう給与は、給料・手当と賞与を合わせた年額です。

民間給与所得者の平均給与(2025年分・年額)
区分平均給与
全体487万円
正社員(正職員)559万円
正社員(正職員)以外210万円

出典:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」。2025年に1年を通じて勤務した人が対象で、給与所得控除前の金額。非課税の通勤手当等を除きます。全体には役員やパート・アルバイト等も含まれ、全体・正社員・正社員以外では対象が異なります。

この年額と、自衛官俸給表の月額をそのまま比べることはできません。自衛官のモデル年収とも対象や条件が異なるため、差額だけで転職の有利・不利を判断しないことが大切です。

また、厚生労働省の2025年賃金構造基本統計調査の役職別の結果は、6月の所定内給与額を示しています。控除前ですが、残業代と賞与を含まない月額で、年収ではありません。一般労働者のうち無期雇用者を対象とし、概況の対象は常用労働者10人以上の民営事業所です。

「曹=係長」「尉=課長」という対応表では、仕事内容や権限の違いを表せません。民間の管理職求人を考える場合は、採用・評価・予算・実務の責任を一つずつ確認します。詳しくは、幹部自衛官の転職で管理職を選ぶ前に|部下の人数より確認したい権限と責任をご覧ください。

民間の求人と比較するときの5つの確認項目

  1. 年間の総額:提示額に何の手当が含まれるか。現在の収入と同じ対象期間・控除前の金額で比べられるか。
  2. 固定残業代:基本給と分けて記載されているか。何時間分で、超過分はどう支払われるか。
  3. 賞与と初年度:保証額か実績か。入社初年度の在籍期間による減額があるか。
  4. 住居などの負担:家賃、食費、光熱費、通勤費はどう変わるか。給与とは別の支出として整理する。
  5. 勤務地・時間・職務:転勤、勤務時間、担当業務、責任の範囲が希望と合うか。

例えば、「想定年収」に賞与の前年実績が含まれているなら、必ず受け取れる額かを確認します。分からない項目は推測で埋めず、応募先への質問として残しましょう。比較の進め方は、求人票の仕事内容・研修・働き方を比べる記事でも紹介しています。

階級だけでなく、経験と希望条件から選択肢を考える

給与の比較は、残るか転職するかを急いで決めるためのものではありません。自分の支給内容を確認し、今後任されたい仕事や大切にしたい生活条件と合わせて考えるための材料です。相談時に話すことを整理したい方は、初回面談の準備と5つのメモも参考にしてください。

民間でどのような仕事に経験を生かせるか、求人の給与条件をどう読むかを整理したい方は、Catapult公式LINEに登録して無料相談をご利用ください。キャリア相談・書類添削・求人紹介・面接対策はすべて無料です。転職を決める前の情報整理からご相談いただけます。

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この記事を書いた人

古川 勇気のアバター 古川 勇気 Catapult事業責任者

株式会社ヒーロープロデュース 取締役COO。2016年に防衛大学校を卒業。リクルートグループやHR Tech企業での経験を経て、現在は自衛隊出身者のキャリア支援に取り組んでいます。

キャリア面談や応募書類の整理、転職に役立つ情報発信を通じて、自衛隊で培った経験や強みを、民間企業に伝わる言葉にするお手伝いをしています。「自分の経験をどう活かせるか知りたい」「何から始めたらよいかわからない」という段階から、お気軽にご相談ください。

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