準備不足を痛感 苦戦した就職活動で知った「成功への近道」とは

「キャリアにおいて、何事も無駄な経験はない」と語る小川翔平さん。防衛大出身の小川さんは、就職活動に苦労した経験を入社後の民間企業で活かし、防衛大時代の経験をビジネスにつなげています。ただ、就職活動を始めた頃を振り返り、「就職成功には当時気付かなかった一番の近道があった」と明かします。

目次

【プロフィール】

小川翔平:防衛大出身。卒業後は総合人材サービスを展開する「アデコ」に入社して約2年間勤務。その後、JR東日本に転職。現在はグループ会社のジェイアール東日本企画に出向し、ソーシャルビジネスソリューション局に所属。

古川勇気:2024年7月にBallista入社。8月からスタートした「Catapult」を担当。防衛大卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

一番の思い出は棒倒しの総長 自衛隊の学びが凝縮

古川:まずは、小川さんが、防衛大に進んだ理由を教えてください。

小川:防衛大は一般の大学よりも受験の時期が早いので、力試しで受けてみるように勧められたのがきっかけでした。また張り詰めて受験勉強を行っていたため防衛大に合格したことで安心したのか勉強に身が入らなくなってしまった部分もあり、他の大学が不合格となりました。「防衛大で頑張らないと自分には何も残らない」という覚悟をもって入学したことを鮮明に記憶しています。

また自衛隊の幹部を目指す選択もキャリアとして意義があると考えるようになりました。

古川:防衛大の在学中で特に印象に残っている出来事はありますか?

小川:印象に残っているのは、何と言っても棒倒しです。4年生の時は総長を務めました。各チーム約200人の大所帯で相手の棒を先に倒す勝負なので、一人ひとりが好き勝手に動いてしまうと勝てません。攻撃も防御も個々が役割を果たす必要があります。組織で戦う重要性を学びましたし、チームを統率するやりがいや難しさも感じました。組織として作戦を遂行する自衛隊の任務が凝縮された競技だと思っています。

民間企業でも活きる スケジュール管理能力とチャレンジ精神

古川:棒倒しの総長は強いリーダーシップが求められることと思います。チームをまとめる大変さはありませんでしたか?

小川:総長は作戦を立てる役割以外にも、大隊内での調整などもあり多忙でした。それから、私は集団を引っ張っていくタイプではないと自覚していたので、リーダーシップを取れているのか常に不安でした。しかし、総長が弱気な様子を見せるとチームの士気が下がってしまうため、そのような姿は見せないよう、先頭に立つ覚悟を持って総長を務めました。攻撃と防御には局長やパート長がいたので、それぞれの特徴を把握して頼ったり任せたりして、チームとして強くなる方法を考えました。

古川:防衛大の4年間を振り返って、どんな学びがありましたか?

小川:濃密な時間で多くの学びがありました。その中でも、民間企業に移ってから特に役立っていることは2つあります。

1つはスケジュール管理です。防衛大では過密スケジュールの中で様々なタスクを行う必要があります。そのおかげで、いかに効率良く成果を出せるかについて考える習慣が身に付きました。これはビジネスにおいても重要な要素だと考えています。

もう1つは、チャレンジ精神です。新しい事業やプロジェクトを始める際、未経験者は誰もが不安を感じると思います。しかしビジネスの世界では自信がつくまで待ってくれたりはしません。何事も恐れずに覚悟を持って挑戦する姿勢や、経験によって知識や技術を習得できる成功体験を防衛大で重ねてきたので、民間企業に転職してからも委縮せずに前へ進んでいます。

なかなか内定に至らず…準備不足と慢心で就活に苦戦

古川:防衛大から民間企業で働くまで、具体的な就職活動の内容を教えてください。

小川:在学中に就職活動を行う一般的な大学生と違い、防衛大の学生は卒業してから就職活動を始める形となります。幅広い業種にエントリーしましたが、なかなか内定をいただけませんでした。そんな中、就職フェアに参加して、声をかけていただいたのが総合人材サービスを展開する「アデコ」でした。「どんな仕事をしたいのですか?」と質問され「人と関わる営業職を希望しています」と答えたところ、入社試験の受験を勧められました。その後の選考に合格して内定をいただき、入社しました。

古川:一般の大学生と比べて就活の準備期間が短いことに苦労しませんでしたか?

小川:防衛大では、当然ですがキャリアセンターなどはなく、就活について教わる機会はありません。就活のいろはが全く分からない状態でスタートするので、準備不足を感じました。それから、私には「防衛大の卒業生は民間企業が求める人材とマッチしているため、内定をもらいやすいだろう」という慢心がありました。防衛大の経験を話せば内定をもらえると過信していたところが苦戦した要因だと思っています。

「当時に戻れるなら…」今は分かる就職成功の近道

古川:就職活動に苦労する中、内定を取るためにどんな対策をされていましたか?

小川:一次、二次面接は通過できても、その先に進めない時期が続き、自分の面接を振り返って分析するようにしました。面接で伝える内容や伝え方を変えてトライ&エラーを繰り返す中で、自分なりにベストな方法を探しました。ただ、これが正攻法とは考えていません。もし、当時に戻れるのであれば、防衛大や自衛隊出身で民間企業に就職した先輩にコンタクトを取って、就活のやり方を聞いたり、相談したりします。経験者からの情報収集が一番の近道だと思っています。基本を押さえることは言うまでもありませんが。

古川:アデコでは、どのような業務を担当されていましたか?

小川:新卒向けの就職支援を担当していました。面談をして希望条件に合う企業の紹介、履歴書・エントリーシートの添削、面接対策などを行っていました。それと並行して、就職先の選択肢を増やせるように企業へ営業をし、求人の開拓も行っていました。

自衛隊と民間企業のギャップを埋める“盗む意識”

古川:民間企業に転職すると、防衛大や自衛隊の環境との違いに戸惑う人が少なくありません。小川さんはギャップに苦しみませんでしたか?

小川:防衛大の環境とは大きく違う難しさはありました。ただ、私の場合は自分が就活に苦労した経験をアデコで活かせた面があります。私自身が経験した就活でのトライ&エラーにアデコが積み重ねてきたノウハウを組み合わせて、就活生に対して実戦的なアドバイスができた部分は自分の強みになりました。それから、職場の先輩たちが電話で営業をしている時は聞き耳を立て、どんな説明や提案をしているのか徹底的に盗む意識を持っていました。まずは仕事ができる人のまねをして、そこに自分の色を付けていくやり方を心掛けて民間に適応していきました。

古川:小川さんはアデコでの勤務を経て、JR東日本に転職されています。キャリアアップしていく上で、どんな思考や姿勢が重要だと考えていますか?

小川:JR東日本には、さまざまな事業フィールドの中でキャリアデザインを描きチャレンジできる機会が増えています。私もJR東日本グループのジェイアール東日本企画に希望し出向の機会を得られました。自分がどの様な業務を担当したいのか明確なビジョンを持つことが大切であると考えています。一方で、一番重要なのは自分のキャリアをイメージしつつも、まずは目の前の業務で結果を残すことだと思っています。当たり前のように役割を果たし、必要とされる仕事を行い続けることで、理想的なキャリアアップが実現できると考えています。

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この記事を書いた人

2024年7月にBallista入社。8月からスタートした自衛隊出身者のネクストキャリアをサポートする事業「Catapult(カタパルト)」を担当。防衛大学校卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

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