成功者から学ぶ 失敗しない転職先の選び方 ~自衛隊出身者に不可欠な人生の軸と自己分析~

成功者の言葉や経験には成功のヒントが詰まっています。自衛隊出身者を専門にした自衛隊出身者に特化した転職支援サービス「Catapult」では、防衛大学校や自衛隊を経て民間企業で活躍する人へのインタビューを通じて、思い描いた転職ができた秘訣に迫ります

Amazonや楽天などに勤務し、現在は越境ECの会社を経営している中山雄介さんのキャリアからは、自衛隊出身者が知っておくべき転職先の選び方や自己分析の重要性が見えてきました。

目次

元自衛隊員プロフィール

中山雄介 防衛大学校卒業後にセブンイレブン・ジャパンに入社。その後、富士通や日本コカ・コーラ、Amazonジャパンや楽天へ転職。現在は、EC分野で十数社の社外顧問を務めながら、越境ECのコンサルティングを行う「合同会社オープンゲート」や福岡県で酒蔵を立ち上げるスタートアップ「株式会社SakeTreasures」を経営している。 

古川勇気 2024年7月にBallista入社。8月からスタートした自衛隊出身者のネクストキャリアをサポートする事業「Catapult(カタパルト)」を担当。防衛大学校卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

キャリア形成で重要な市場価値 ポイントは3つ

古川:中山さんは転職を重ねて、キャリアアップされています。転職先を決める上で、どのような点を重視してきましたか?

中山:自分のキャリアを築いていく上では、自分の市場価値が最も重要になります。市場において今、自分がどのように評価されているのか、どうすれば今よりも評価を上げられるのかということです。市場価値は、大きく3つに分かれると言われています。

古川:具体的に教えていただけますか?

中山:1つ目は、技術性や専門性といった「スキル」です。どんな仕事もスキルで成り立っています。大切なのは、その専門的なスキルを「他の業界に持ち運べるか」です。例えば、GoogleのシステムエンジニアはAmazonに転職してもスキルを生かせます。幅広い業界で生かせるスキルを持っている人ほど、市場では高く評価されやすい傾向があります。一方、特定の分野で専門的なスキルを極めればレアな価値になります。

2つ目は、「人的価値」です。どんな仕事も人でつながっていくので、キャリアの中で培った人脈やネットワークは大事です。防衛大や自衛隊出身者のネットワークは武器になりますよね。人からの信頼や信用は必須です。人的価値も持ち運べる業界経験が多いほど、市場価値が高くなります。

3つ目は、転職しようとする業界の「ポテンシャル」。転職先に選ぶ業界自体に成長する力があるのか、という点です。

この3つの視点で市場価値を見極めると、転職するほど自分の市場価値が上がるポジティブサイクルでキャリアをつくっていけます。

転職前に知っておきたい 伸びる業界の見極め方

古川:将来的に伸びる業界の見極め方はありますか?

中山:選び方は、主に2つあります。1つは、複数のベンチャー企業が入っているか。最近で言うと、Uber Eatsや出前館などが参入したデリバリー業界が一例です。もう1つは、業界の非効率さや隙間を突いているか。例えば、私の会社が手がけている越境ECは、業界の非効率な部分を解決するビジネスです。輸出や輸入を担う日本の大手商社は、企業の規模が大きいが故に小回りが利きません。売れる商品だけを扱い、最少の品目で取り引きする旧いビジネスモデルです。当然、ユーザーの意見は反映されにくくなります。しかし、越境ECは、インターネット上でユーザーが自由に商品を選べます。物流の手間も小さく、関税も安いです。旧いビジネスモデルの隙間に入るビジネスは、いくらでもあります。

古川:転職先を選ぶ上では、自分が理想とする生活を送れるのかも大事になりますよね。人生の軸を見つける方法はありますか?

中山:私は常に自己分析をしています。今の時代は10年後が想像できないので、3年先に自分がどうなっていたいのかを考えます。重要なのは「どうしたいのか・何をしたいのか」ではなく、「どうなっていたいのか」を掘り下げることです。「満員電車に乗らず働きたい」、「生活費を心配せずに暮らしたい」など、3年後にどんな生活をしていたいのかを決めます。

人生の軸を決定→自己分析→レジュメ・面接対策

古川:企業に属していて、何をしたいかを聞かれることはあっても、どうなっていたいのかを問われることは少ないかもしれないですね。中山さんは、どのように自己分析されていますか?

中山:人生の軸になるのは、お金、人間関係、時間の主に3つあると私は考えています。3つとも思い通りにいかないと、働くのが苦しくなります。大半の人が、給料が足りない、嫌な上司と付き合うのが大変、自由な時間がないと、いずれかの悩みに直面していると思います。誰も助けてくれないので、自分で打開するしかありません。まずは、この3つの中で、何を最優先にするのか軸を定めます。

軸が決まったら、自己分析に入ります。まずは、レジュメです。企業に自分をプレゼンする書類をつくって、相手に会ってみようと思わせる必要があります。面接もプレゼンの1つです。

自己分析では、相手がお金を出してでも必要としてくれる自分のスキルや強みを考えます。お金や人間関係といった価値観の序列、さらに性格や生まれ持った才能を含めて、自分がどういう人間なのかを理解した上でキャリアを築かないと後で苦労します。憧れだけで前に進み、自分の強みと違う道を歩んでしまうと、頑張っても上手くいかずに途中で燃え尽きてしまいます。そういう人をたくさん見てきましたし、自分自身も軌道修正してきました。自問自答や周りの人からのフィードバックを繰り返さないと、本当の自分が見えてきません。

自己分析に有効 専門家や成功者からのフィードバック

古川:私も自衛隊出身者の転職支援でコーチングをしていますが、レジュメを書いたことがない人も多いです。そもそも書き方が分からないので、訓練が必要ですよね。本当の自分、自分の強みや価値観を明確に答えられない人は大半なのかもしれません。

中山:私の場合は、自分が考えていることを描き出して頭の中を整理する「マインドマップ」や、適性・適職を診断する「プロファイルテスト」を活用しました。自己分析ができると、周りの人をタイプ分けできるようになります。それぞれのタイプに合わせた議論をしたり、伝え方をしたりできるのでコミュニケーションが円滑になるメリットもあります。1人で自己分析するのは難しい面もあるので、自己分析に詳しい人や民間企業で成功している人からフィードバックを受けることも非常に重要です。自分が思っている自分と他者から見た自分は同じではないケースは多いですからね。

習慣化のカギは強い原動力 無駄を削ぎ落して目標達成

古川:自己分析で軸を定めても、モチベーションや行動が続かない人は少なくありません。中山さんは、どのようにして習慣を身に付けましたか?

中山:習慣化はすごく難しいですよね。元メジャーリーガーのイチローさんが試合前の食事に毎日カレーを食べていたのも、スティーブ・ジョブスが黒い服しか着ないのも、やるべきことに集中するためです。つまり、大事なことを習慣化するには、余計なことやものを削ぎ落していくわけです。アンチテーゼ的に表現すると、習慣にできない人は能動的に出てくる目標がないと言えます。

習慣を付けるには強い原動力を前提にして、ルーティーンを決めていきます。様々なやり方を試して、自分のパフォーマンスを最大限にする方法を見つけます。私の一例としては、自分が防衛大生だった時から1日40分、エアロバイクを漕ぐと決めています。体を鍛えながら汗を流してストレスを解消し、その間に本を読んだり動画を見たりします。最初は意思が必要になりますが、習慣化するとやらないことがストレスになります。そこまで行けば勝ちですね。

古川:習慣化できない時は、軸が定まっていなかったり、目標が明確になったりしていないのでしょうか?

中山:そうだと思います。その場合は、自己分析に戻った方が良いですね。成功するためには目標と意思が不可欠で、目標があれば意思は強くなります。仕事や人生の軸が定まっていれば、「飲み会に行っている場合ではない」と自分がやるべきことに集中できます。受験生が志望校に向けて勉強に没頭するのと同じです。

人生の軸を定める手段 コーチングも効果的

古川:軸を定めるのは大変かもしれませんが、それだけ重要なんですね。自己分析やフィードバックに加えて、コーチングを受けるのも1つの手段と、私は考えています。中山さんは、どのようにお考えですか?

中山:コーチングは非常に有効です。海外のビジネスエグゼクティブはパーソナルコーチをつけているくらいですから。コーチングのレベルも様々で、高いレベルに行くとフィジカルもメンタルもサポートしてもらえます。コーチングは奥深いですね。

古川:私も自衛隊出身者のキャリア形成をサポートできるように、コーチングの技術を高めていきたいと思います。

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この記事を書いた人

2024年7月にBallista入社。8月からスタートした自衛隊出身者のネクストキャリアをサポートする事業「Catapult(カタパルト)」を担当。防衛大学校卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

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