47歳の転職に「遅すぎることはない」 “秘訣”は言語化とキャリアコーチ

47歳で自衛隊を退職し後、民間企業へ転職し、49歳で起業。吉田勇司さんは「強い思いがあれば挑戦に遅すぎることはない」という信念を体現されています。書類審査や面接を突破して、5社から内定を獲得できた秘訣は、「言語化」と「キャリアコーチの存在」がありました。

目次

【プロフィール】

吉田勇司:一般大学を卒業後、陸上自衛隊に入隊。自衛隊で24年間勤務し、47歳の時に老人ホームを紹介する企業に転職し、営業を担当。2年後に独立して、合同会社「ウォーキングフラワー」を設立。千葉県習志野市を拠点に、訪問マッサージ事業を展開している。

古川勇気:2024年7月にBallista入社。8月からスタートした「Catapult」を担当。防衛大卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

自衛隊で24年間勤務 定年後を想像して転職決意

古川:自衛隊では、主にどのような任務を担当されていましたか?

吉田:24年間所属したのでさまざまな任務がありました。私は衛生科にいたので、一番多かったのは怪我人を処置する救護支援です。思い出はたくさんありますが、中でも印象深いのは、陸自の教育訓練の中で最も過酷な訓練の一つ、レンジャー訓練の最終想定と上級英語課程です。レンジャー訓練では、自分が感じている限界は、本当の限界ではないと知りました。「もう駄目だ」とあきらめかけても、まだ力を出せるんですよね。心が折れそうな苦難を乗り切った自信がつきました。上級英語過程は、レンジャー以上にきつかったかもしれません。周囲との能力の差に打ちのめされました。精神的なつらさにも逃げない強さが身に付いたと思っています。

古川:自衛隊でキャリアを重ねていく中で、なぜ40代になって民間企業へ転職を考えたのですか?

吉田:私は強い志や覚悟を持って入隊したわけではなかったので、定年まで自衛隊で働くのは難しいかなと、ずっと感じていました。自衛隊は定年が早く、定年後の仕事を考えた時、どこかのタイミングで民間企業に転職した方が自分の希望に合った働き方ができると思っていました。転職を決めたタイミングは、自衛隊で非常に忙しい時期が落ち着き、今後を考えたのがきっかけです。それまでと違って、自衛隊で具体的な目標が見えなくなり、新たな環境に挑戦してみようと決めました。

自衛官専門のキャリアコーチに相談 職務経歴書の書き方サポート

古川:転職活動では、どんなことから始めましたか?

吉田:最初は、転職エージェントに登録しました。職種は、興味を持っていた人材紹介、福祉や教育関係の営業職が中心でした。ただ、エージェントは40代(で自衛官)の私に転職先を探すのが難しいと判断したのか、一度話をしただけで連絡が来なくなりました。その後、まだBallistaに入社する前の古川さんに相談しました。インターネットで転職について検索していた時、古川さんが自衛官隊出身者専門のキャリアコーチをしていると知って連絡したかたちです。

古川:まだ私が個人事業主として仕事をしていた頃ですね。今はCatapultで当時のサービスを充実させています。転職エージェントにはないメリットを感じたところはありましたか?

吉田:防衛大出身の古川さんは、自衛隊についての知識があるので話しやすかったですね。一般的な転職エージェントは自衛隊の経験を説明しても理解してもらえない部分が多かったです。古川さんには自衛隊の経験を民間企業に分かりやすく伝える職務経歴書の書き方などを教わり、力になっていただきました。

異業種への挑戦 面接で相手を動かす「思い」

古川:民間企業の面接では、どのようなことを心掛けていましたか?

吉田:自衛隊からの転職は、基本的に異業種で未経験です。しかも、私は40代でした。民間企業で働いていた人と比べると、自衛隊以外の知識や経験で劣ります。ただ、遅すぎることはありませんし、未経験だからこそ思いが大事だと考えました。「なぜ、20年以上勤務した自衛隊を離れるのか」、「なぜ、その会社に入りたいのか」。気持ちの面をしっかり話すと、響く相手もいます。転職活動では、5社から内定をいただきましたが、私の思いが届いたのだと思います。

古川:面接では、どういった思いを企業に伝えたのでしょうか?

吉田:60歳の時に、どうなっていたいのかを話しました。そのためには自衛隊に居続けるのではなく、民間企業への転職が必要でした。具体的には「自ら仕事をつくり出せる人間、価値を生み出せる人間になりたい」と訴えました。入社を決めた企業には、将来的に起業したい意志も伝えました。

老人ホーム紹介する営業職に転身 自衛隊と民間の違い実感

古川:転職した企業で主に担当していた業務を教えてください。

吉田:老人ホームを紹介する企業で営業職をしていました。保険代理店のように、それぞれ特徴が異なる老人ホームの中から、お客さまの希望や条件に合った施設をご提案する仕事です。地域の居宅介護支援所にいるケアマネジャーや病院のメディカルソーシャルワーカーと関係を築いて、老人ホームを探している高齢者の方々を紹介してもらうケースが多かったです。最初は、ひたすら外回りして、自分の顔を覚えてもらうところからスタートしました。

古川:すぐに仕事を覚えて、民間企業に適応できましたか?

吉田:入社して1か月経たずに相談の連絡が来て、最初は表彰されるくらいの営業成績を残しました。ただ、それは運が良かっただけで、その後は停滞期が続きました。仕事自体には比較的早く慣れましたが、自衛隊の頃の考え方を変えないと、民間企業では成果を挙げられないと気付きました。

表情や歩き方は“民間仕様” 指摘を素直に受け入れて適応

古川:具体的に自衛隊の頃から、どんなところを変えたのでしょうか?

吉田:まずは、自衛隊で働いたというプライドをなくす意識を持ちました。自衛隊と民間企業の違いを受け入れて、人の指摘に対して素直に耳を傾けるようにしました。悪い意味ではなく、自衛隊に24年間在籍した習慣は体に染みついています。相手に厳格さや真面目さを感じさせる一方、営業マンとしては少し硬すぎる面があります。上司からは表情や話し方、さらには歩き方まで改善点のアドバイスを受けました。民間には民間に適した方法があります。自衛隊時代のやり方や考え方を貫くのではなく、民間の先輩たちの意見を取り入れることが重要だと思っています。

古川:営業する上で、特に心掛けていたことはありますか?

吉田:お客さまとの接し方、話し方には気を付けましたね。売り込みに行くのではなく、お客さまの話を聞きに行く営業スタイルを心掛けました。自衛官の時は目的を明確にして、その目的に達するためには、どのような工程にするか綿密に組み立ててから行動していました。自衛隊の任務ではベストなやり方でも、民間企業で同じとは限りません。営業は相手の反応を見て、話の順番や内容を変えていく必要があります。事前に準備した方法にこだわって、自分が話したい内容に固執すると、お客さまの希望や本音を聞くチャンスを逸してしまいます。お客さまが興味を持った内容を膨らませて説明したり、悩みや迷いを解決するご提案をしたりすると上手くいくケースが多いです。

会社員を2年間経験 人脈を活かして起業 

古川:自衛隊時代のマインドを変えるのは難しくありませんでしたか?

吉田:民間企業に適応しようという気持ちがあれば、全ての自衛隊出身者がマインドを変えられると思います。大事なのは「自分を変えたいと思えるかどうか」です。私は変わりたくて転職を選んだので、そういう意識を持ちやすかった面があります。自分を変える必要性に気付くところからスタートして、小さなことでも気持ちや姿勢を変えていけば、民間で働くおもしろさが見えてくると思います。

古川:老人ホームの紹介業を経験後、吉田さんは独立されています。事業内容を教えてください。

吉田:会社員を2年間経験してから起業しました。事業内容は、訪問マッサージです。会社員で老人ホームの紹介業をしていた頃、訪問マッサージを取り入れている施設がありました。詳しく調べてみた結果、独立して自分でもできそうだと考えました。現在の営業先は、会社員時代とほとんど変わりません。どうしても訪問マッサージに携わりたいというより、起業したい気持ちが強く、自分の知識や経験を活かせる事業を探したかたちです。転職の際も同じでしたが、私はモノを売る仕事よりも、人と関わる仕事の方が自分に合っていると感じています。

「転職に年齢は関係ない」 経験者の話にヒント

古川:転職や起業で自衛隊の経験が活きたと感じるのは、どのような時ですか?

吉田:我を忘れて愚直にやる場面は、自衛隊の経験がつながっているかもしれません。もちろん愚直さだけでは結果を残せませんが、例えば、営業職であれば、1日30件回ると掲げた目標を達成する粘り強さが必要になる時もあります。

古川:転職を検討している自衛隊出身者に伝えたいメッセージはありますか?

吉田:自衛隊から民間企業への転職に年齢は関係ないと思います。ただ、強い思いがないのに、無理して転職する必要はないと考えています。定年まで自衛隊で働くのも、転職や起業するのも個人の自由です。もし転職を検討しているのであれば、転職経験者に直接話を聞くのが一番参考になります。それから、古川さんのように自衛隊を知っているキャリアコーチに相談するのも有効です。初めての転職で不安な中で寄り添ってもらい、転職に向けた考え方や自衛隊時代の経験を整理できました。

古川:そう言っていただけると、うれしいです。迷ったり、悩んだりしている場合は、Catapultをご利用いただければと思います。

最後に

吉田さんの体験から、自衛隊から民間企業への転職は、年齢や未経験といったハードルがあっても、強い思いや適応する意志を持って挑戦することで成功できることがわかります。自衛隊で培った粘り強さや愚直に取り組む姿勢は、転職後の環境でも価値を発揮するでしょう。新しいキャリアに挑戦したいと感じたら、自衛隊の経験を理解する専門のキャリアコーチに相談することで、不安を解消し自信を持って一歩を踏み出す手助けが得られます。

ぜひ、LINEからCatapultに登録し、私たちと一緒にキャリア面談で未来への第一歩を踏み出しましょう。

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この記事を書いた人

2024年7月にBallista入社。8月からスタートした自衛隊出身者のネクストキャリアをサポートする事業「Catapult(カタパルト)」を担当。防衛大学校卒業後、入社試験時の適性検査を販売する企業で営業職などを経験。人材獲得や入社後のミスマッチに課題のある会社の内定率向上や離職率低下に貢献した。

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