自衛隊を知る2人の経営者は「チャンスは誰にでも訪れる」と口を揃えます。その機会をつかんで自身の成長や活躍につなげるには、どのような要素や心掛けが必要なのか。防衛大を卒業したBallistaの中川貴登代表と、自衛隊出身で現在はポーカーバーやシーシャバーを経営する堀賢太郎さんが対談。両者とも自身の経験から、自衛隊出身者は民間企業でチャンスを手にするポイントを身に付けていると感じています。
【プロフィール】
堀賢太郎:海上自衛隊の航空学生出身。自衛隊に約6年在籍して戦術航空士の役割を担う。自衛隊退職後はアルバイトを経て、現在はポーカーバーやシーシャバーの経営に携わっている。
中川貴登:防衛大・航空宇宙工学科卒業。デロイトトーマツコンサルティングやエクサウィザーズなどを経て、2022年8月にBallistaを設立。新規事業開発、組織改革、マーケティングの3つの軸で、多数の支援実績や実行経験を有している。直近では、組織変革の戦略策定や実行、会社設立、新規事業の立上げなどのプロジェクトを担当。コンサルティングスキル、実行スキル、情熱を併せ持つ。
誰にでも訪れるチャンス つかめる人とつかめない人の差は…
中川:組織の中で色々な人と接していると、チャンスをつかめる人やチャンスが訪れた時に一歩踏み出せる人がいる一方、それが上手くできない人もいると感じます。チャンスは至るところにある中で、踏み出し方が分からない人も多いと思います。堀さんは自衛隊を離れてから、組織やチームを引っ張る立場で仕事をされていますが、チャンスのつかみ方をどのように考えていますか?
堀:私は自衛隊を退職後、最初はアルバイトをしていました。アルバイトのリーダーや店長、さらに雇われ店長や経営者と経験してきました。様々なポジションで組織マネジメントに携わり、色々なタイプの人たちと仕事をしてきました。その中で、チャンスをつかめるかどうかは、知識やスキルの差ではなく、人としての基本的な要素にあると感じています。
中川:例えば、どのような要素が大事だと考えていますか?
堀:挨拶ができる、時間に遅れない、失敗や間違いを謝るといった誠実さです。当たり前に感じるかもしれませんが、意外とできていない人が多いと感じています。私は民間企業に転職した時、「自衛隊の知識や経験を民間で活かすことは難しい」、「自分は民間企業で何もできないかもしれない」と思っていました。一方で、何もできないのであれば、学べば良いと前向きに捉えました。自衛隊の専門的な知識は直接的に民間企業の仕事につながらないかもしれませんが、自衛隊で自然と身に付く礼儀正しさや誠実さといった人間性は、どんな職種にも求められる重要な要素です。
自衛隊でも民間でも共通 ベースは「人となり」
中川:人との接し方や仕事との向き合い方が誠実な人はサポートしたくなりますし、組織のリーダーや経営者としては成長する機会を与えたいと思いますよね。私も防衛大を卒業して最初の民間企業に転職するまでは苦労しました。その後は、会社やクライアントのためになる仕事をしようと人一倍努力した結果、人との出会いに恵まれました。
堀:魅力的な人と出会って交流を深めるには、相手に「この人と一緒に仕事をしたい」、「この人に仕事を任せてみよう」と思ってもらう必要があります。突出した能力や技術を持っている人は稀で、人柄に惹かれる部分は大きいと思います。そのためには、1つ1つの仕事に全力を尽くしたり、向上心や探究心を持って仕事に取り組んだりする姿勢など、相手が応援したくなる要素が大事ですよね。業務に真摯に向き合う姿勢やがむしゃらさは自衛隊で最初に学びます。民間企業でも同じように仕事をしていれば、出会いやチャンスが訪れます。その時、仮にスキルがなくても思い切って挑戦する気持ちがあれば、チャンスをつかめるはずです。やはり、ベースになるのは「人となり」だと考えています。
民間企業でも活きる 自衛隊の心構え5項目
中川:今の社会や時代では軽視されがちですが、人となりは大事なことですよね。私もチャレンジは個人の成長に不可欠だと考えています。チャレンジするには、どんなことが必要になると思いますか?
堀:自衛隊の時に「※自衛官の心構え」という5項目を学びました。今でも心に響く内容で、民間企業でも成長するために大切なものばかりです。特に、経営者や組織をまとめる立場になって重要性を強く感じています。「自分が進めている事業は何のためなのか掘り下げる」、「ルールやコンプライアンスは順守する」、「何かをやり遂げるには協力が必要」など、民間企業で大事にしてきたことは自衛隊の頃と同じですね。
※自衛官の心構え:自衛官が重点を置いて学ぶ内容の1つで、使命の自覚、個人の充実、責任の遂行、規律の厳守、団結の強化と5つの心構えがある。
アンテナは常に高く トレンドやニーズを敏感に把握
中川:堀さんは、いち早くポーカーやシーシャの需要拡大を見極めて、お店を増やして事業を拡大されています。市場やトレンドの捉え方について教えてください。
堀:私が自衛隊を離れてからずっと携わっているサービスやエンターテインメントの業界は国内の動向だけではなく、海外からの影響も強く受けます。流行やニーズに対するアンテナを高く保って、気になったものは自分の目で確かめるようにしています。常にインプットを心掛けていますね。日本国内でも首都圏と関西では文化が違うので、自分の肌で感じて得られる情報は大切にしています。それから、お金を稼ぐことを最優先したり、短期的に利益を出せれば良いと考えたりすると、事業は上手くいきません。何のため、誰のための事業なのか、利用者の気持ちを学び続けて、満足してもらえるサービスを追い求める意識は忘れないようにしています。
デジタルやAIが進んでも不可欠な「人の心」
中川:それは大事ですよね。社会のためになる事業、事業を通じていかに社会に還元できるかを大切にする考え方はビジネスの軸になると私も考えています。サービスやエンターテインメントに長年携わっている中で、エンターテインメント業界には今後どのような人材が求められていくと思いますか?
堀:少子高齢化で人口が減っていく日本では、デジタルやAIの重要性が高まっています。サービスやエンターテインメント業界も、その流れが進むと予想しています。接客はタッチパネルとロボットだけになり、エンタメはVTuberであふれるかもしれません。ただ、人と人との接点やコミュニケーションがないサービスやエンタメは利用者を満足させることができないと思っています。割合が小さくなったとしても、直接触れたり、話したりする時間や場所を提供することへの情熱を失ってしまったら、組織も業界も衰退してしまいます。「人の心」を大切にできる人材が今以上に重宝されると予想しています。
中川:そうすると、最初にお話したように自衛隊で身に付く信念や心の強さが大事になりそうですね。
堀:自衛隊は国や大切な人のために行動します。若い時から心を鍛えて、仲間や国民の気持ちを考える習慣が付いている自衛隊出身者は、私たちの業界はもちろん、民間のあらゆる業種で活躍できる可能性があると思います。
最後に
自衛隊で培った礼儀や誠実さ、そして人と真摯に向き合う姿勢は、どんな職場でも求められる重要な資質です。これらはすでに皆さんの中に備わっています。新しい環境でこれらの強みをどう活かせるか、具体的に考えてみませんか?
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